著者は比較政治学を専門とする学者で、現在は学習院大学の教授をなさっているようです。比較政治が専門ということで、55年体制以降の自民党を、「国際比較と歴史的な位置づけを行うことによって」捉え直すことをこの本の特色としています。
日本における、一般市民向けの政治に関する本というのは、政治家自身による自叙伝的なものか、ジャーナリストが書いた政権の内幕を暴露するものが殆どで、学者が書いたものはまれだと思います。それは、学者が書いた本は難しいから、という理由だけではないでしょう。学者が書いた本ははあくまで学術的なものに過ぎず、権力闘争としての生の政治の姿を知りたいという国民の要望に応えられていなかったからなのだと思います。
その点この本は、新書であることからもわかるように、また著者が自認するように、政治や自民党に関する興味を有する一般市民に向けた本です。その内容も、まずは小沢一郎と小泉純一郎という2人のキーパーソンに焦点を合わせることによって、読者の興味をそそるように構成されています。かといって中身のレベルが低いわけではなく、非常に面白い本でした。
この秋に政権選択選挙を迎えるに当たり、是非読んでいただきたい本です。星五つです。
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