2008年9月19日金曜日

山口 厚 「刑法各論」 有斐閣

刑法総論にて紹介した山口教授による、刑法各論の書。

刑法総論で見たような理論的な鋭さは、若干影を潜めているように思います。
その分、総論で見られたような、結果の妥当性よりも理論の明快さを重視するような若干の違和感を感じることはありませんでした。また他の学説や判例についても充分すぎるほどの論述があり、基本書として不足する点は全くないと思います。

ただ、記述を厚くしたため、非常に分厚い本になってしまっています。
充分に時間的余裕がある研究者の方であれば良いのですが、なるべく短い時間で実務家になりたいという、司法試験受験生には、あまりお勧めできません。

そもそも刑法各論は、総論と比べ、理解しなければならない核の部分は少ない筈であり、またどの学説をとってもそれほど大きな相違は出てこない分野であるので、もう少し易しい本を使うのがお薦めです。星二つ。

【中上級者向け ☆☆★★★】

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