2008年9月15日月曜日

上杉 隆 「ジャーナリズム崩壊」 幻冬舎新書

安倍政権の内幕を描いたノンフィクション「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」の著者による、日本の既存メディアに対する批判。

私は安倍政権が嫌いで、出版された直後に「そら見ろ」と思いながら「官邸崩壊」を読んだのですが(笑)、それまでこの著者のことは知りませんでした。「官邸崩壊」は安倍政権の内側を相当深くえぐった本で、かなりの取材力が無ければ書くことは出来ないはずです。それが無名だったフリーランスのジャーナリストによって書かれたとは驚きなのですが、本著を読むと、書き上げるに至るまでの苦労が伝わってきます。

本著は、そのような苦労の原因とも言える既存メディアの貧しい実情を、筆者が以前所属していたニューヨークタイムズのそれと比較して批判したものです。そしてその批判は、かなり的を射ていると思います。読むのにそれほど時間もかからないので、興味のある方は是非ご一読ください。

新聞というメディアが衰退していく原因は、インターネットの普及というだけにとどまらず、ジャーナリズム精神の崩壊という点にもあるように思いました。星四つ。

【☆☆☆☆★】

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