2008年9月15日月曜日

山口 厚 「刑法総論」 有斐閣

結果無価値論の大家による著作。

鋭い理論によって刑法総論を解き明かしてくれますが、一方で結果の妥当性が犠牲になっているのでは、という批判もあるようです。

私は初学者時代にこの本を薦められ、それ以来、刑法総論はこれ一冊で通しました。最初の半年くらいは読むのに非常に時間がかかりますが、一度理論の大枠を掴んでしまえば、後の学習はそう困難ではありません。他の刑法総論の基本書と比べてだいぶ薄いことからもわかるように、理解しなければならない量、暗記しなければならない量は少ないです。

結果の妥当性云々についても、刑法の研究者になるならともかく、法律実務家になるならば、山口説を採ったから不当な結果になってしまう事件というものに出会うことは皆無ですので、あまり気にしないでよいでしょう。

ただ、自分の経験を踏まえて言うならば、初学者にはやはり難解です。まずは他の入門書や予備校本などで、総論の大枠を掴んでから読むのが良いと思います。

個人的には、星四つです。

【中級〜上級者向け ☆☆☆☆★】

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