筆者は雑誌「創」の取材と通して二人の元死刑囚と関わりを持つようになり(もしかすると逆に、筆者と元死刑囚の関わりが、逆に「創」の記事となっていったのかもしれませんが・・・)、頻繁な手紙のやり取りを通して、彼らがどういう人間であったのか、ということを明らかにしようと試みます。
私がこの本を読んで感じたのは、著者の意図するところかどうかはともかく、死刑囚となるような人(世間一般には到底認容できない、重大な犯罪を犯す人)はやはり、一般的に理解しうる思考をもつ人ではない、ということです。
ただそう考えると、世間一般から理解し得ない思考をもつ人を、世間一般の基準に照らしつつ、法で裁くということになりかねません。あちら側のルールしか持たない人を、こちら側のルールで裁いているのです。それは許されるのか?
死刑という刑は、あちら側のルールしか持たない人を矯正してこちら側のルールに近づける、という努力を放棄して、こちら側から排除する刑です。市民感情からすれば、それは許容できる(望ましい、とまで言えるかもしれません)にしても、文明社会がそれを行ってしまっても良いのでしょうか。私にはわかりません。
まだ死刑制度を存続すべきか否か、確固たる自分の意見が無い私にとっては、色々な事を考えさせてくれる(結論には遠のいた気がしますが・・・)本でした。星三つ。
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